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IHS Markitの事例:PagerDutyとServiceNowによるインシデント管理の一元化

投稿:2022年8月17日   |    更新:2023年3月2日

今日のデジタル社会では、企業は常に変化を強いられています。クラウドへの移行や大規模なDevOpsの展開などが、全てイノベーションを推進するというお題の下で行われています。しかし、モノリシック構成からマイクロサービスへ移行すると、アプリケーションはますます分散化します。問題が発生したとき、顧客はチームやサービスの数、アーキテクチャーの複雑さなど気にも留めません。ただ、必要なときに必要なサービスが動くかどうかが重要なのです。

そのためには、チーム、サービス、データなど、全てを一元管理することが重要です。緊急の仕事がチケット管理ツールで一元管理されては困ります。

そこで、ITサービスマネジメントツールとデジタルオペレーションプラットフォームを組み合わせることで、中央のITと分散型チームとの間のギャップを埋めることができます。PagerDutyとServiceNowを組み合わせることで、レスポンダーたちは遅滞なく行動を起こすための自動化を利用できるようになり、全アクティビティーの完全な履歴を維持しながら、数秒でリアルタイムの対応を実現することが可能になります。この組み合わせにより、インシデントに対するビジネスレスポンスも合理化され、関係者は常に最新の情報を得られます。

この”better together”アプローチは、現代の企業スタックで活用されているインシデント対応プロセスの代表的なものです。PagerDutyは、IHS Markitのようなお客様にもご利用いただいています。

文化の衝突

IHS Markit は、金融サービスプロバイダー、政府機関、その他主要産業に対して、分析およびインテリジェンスを提供しています。英国ロンドンに本社を置き、全世界で1万6000人の従業員を擁しています。

IHS Markitは、急速に拡大するハイブリッド運用をまとめ、ビジネス全体を完全に可視化し、集中管理されたコマンドセンターからインシデントを管理する必要がありました。同社は買収によって成長し、現在では約700の顧客向けサービスと300の社内向けサービスを提供していました。この規模でのインシデントの追跡は非常に困難であり、ビジネスのさまざまな領域が持つ相反する要件によって、さらに困難になっていました。

  • DevOpsチームは 、あらゆる監視のニーズを完全に制御しながら「アジャイルで自律的で素晴らしい」状態を維持したいと考えていました。DevOpsの主要な要件は、チームがチケットを発行したり、ServiceNowにログオンする必要がないようにすることでした。
  • オペレーションコマンドセンター(OCC)チームは 、より伝統的なITIL(IT Infrastructure Library)構造に基礎を求め、ServiceNowをベースにシステムを構築していました。このチームは、より優れたスケジューリングとエスカレーションポリシーを求めましたが、"既存の成熟したインシデント管理プロセスへの影響はゼロ "でした。
  • コンプライアンス IHS Markitは、さまざまな規制下で多くの製品を扱っているため、ServiceNowの共通の記録システムで管理し記録を追跡することを望んでいました。
  • 経営陣は 、チームがDevOpsと連携しているか、より伝統的なITILを基にしているかに関わらず、全チームにわたりグローバルな監視を行うことを求めました。経営陣は、ServiceNowがこの可視性を提供することを望んでいました。

IHS Markit は既にPagerDuty を導入していましたが、その利用を拡大したいと考えていました。IHS MarkitのObservability担当ディレクターであるJohn Kennedy氏は、"インシデント管理を全社的に水平展開し、適切に管理できる1つのエンタープライズサービスにまとめたいと考えていました"と説明しています。

全ての人のためのソリューション

これを実現するために、IHS MarkitはServiceNowのインシデントとPagerDutyを統合しました。IHS MarkitはPagerDutyのカスタマーサクセスチームと協力し、PagerDutyのプラットフォームをカスタマイズして全ての要件に対応し、運用を改善しました。

これにより、DevOpsチームはPagerDuty内でサービスのオーナーシップを維持できるようになりました。これらのチームにとって、ServiceNowとの統合は「ステルス」導入されたもので、プラットフォームにログインすることなく、全てがServiceNowで追跡・記録されました。

OCCチームにとって、PagerDutyとServiceNowの統合は、既存のインシデント管理プロセスをそのまま維持することを保証するものでした。PagerDutyをまだ導入していなくても、誰もがPagerDutyのダッシュボードを介して主要なインシデントを監視することができます。インシデントマネージャーはワンクリックで、上級管理者や製品の専門家など、さまざまなスキルを持つ専門チームを迅速に呼び出すことができました。

また、PagerDutyはシステム全体を一望できるため、コンプライアンスと経営陣の可視化の要件も満たしています。

「全ての重大インシデント管理はPagerDutyで行われ、インシデントがPagerDutyの外で発生した場合は、重大インシデントの管理者がPagerDutyと同期するようになっています」とJohn氏は説明します。「そのうえで、レスポンスプレイを使って経営者を呼び寄せ、迅速な意思決定ができるようにしているのです。その結果、特にMTTRの面で大きな効果を得ています」。

このBetter Together連携により、中央のIT部門は、分散したチーム全体への可視性とアクセスを確保することができます。これは、IHS Markit が成長を続けていく上で不可欠なものです。

IHS Markitの次なる目標は?

今後、IHS Markit は可視性の一元化を進めていく予定です。「アジャイルとDevOpsの方法論が全社的に大きく広がっており、インシデント管理のコンバージドモデルの次の進化を考える必要があります 」とJohnさんは述べています。

また、DevOpsが「アジャイルかつ自律的」であることを維持することも、主要な焦点となることでしょう。「そのため、ServiceNowのテクニカルサービスを考え、その階層にフックする必要があるかどうかを判断する必要があります」と、Johnさんは説明します。「ガバナンスも重要ですーつまりシステムの品質を維持し、それをどのように一元管理するかということです」。

DXが進み、チームがこれまで以上に分散する中で、緊急の仕事を管理するビジネスプロセスをリアルタイムで運用できることが重要です。PagerDutyがServiceNowやその他のITSMツールをどのように強化し、解決時間の短縮と連携強化を実現するかについては、以下のリソースをご覧ください。

ITSMツールとPagerDutyの組み合わせで、リアルタイムに仕事をするためのダイナミックなデュオを作る方法

ITSMの強化

ソリューション概要 PagerDutyでITSMワークフローを拡張する

そして、PagerDutyの動作を確認する準備ができたら、14日間無料でお試しください


訳注:IHS Markitは2022年2月にS&P グローバルに買収されました。 この記事はPagerDuty社のウェブサイトで公開されているものをDigital Stacksが日本語に訳したものです。無断複製を禁じます。原文はこちらです。

book-markカテゴリー :ベストプラクティス